フルマラソンを完走することが目標であったり、記録を縮めようとするには、栄養管理が必須です。
なぜなら、マラソンにはトレーニングの継続が重要だからです。
栄養管理ができていないと、疲労がとれなかったり、ケガをするリスクが高まります。
ケガをしてしまうと、トレーニングが継続できず、十分な練習が積めなくなってしまいます。
著者は、学生時代から食事には気を使っていましたが、栄養が足りていなかったばかりか、度重ねるケガに悩まされていました。
しかし、栄養を学んでいるうちにそのケガの頻度も減ってきました。
栄養素の中でもタンパク質は身体の土台であり、タンパク質が足りていないと他の栄養素も機能しません。
この記事ではタンパク質の基本、効果的な摂取方法を解説しますので、疲労がとれない方やマラソンで記録を狙いたい人に知ってもらいたい内容になっています。
- タンパク質は、体重1kgあたり1.2g~2.0g、ランナーの場合、2.0g~2.5g摂る
- タンパク質は、プロテインスコアを基準にする
- 摂取タイミングは、運動前、運動後30分以内が効果的
- プロテインも摂ろう!
身体はタンパク質でできている
ヒトの身体は水分を除くとほとんどがタンパク質で、骨や筋肉などのあらゆる細胞・組織をつくる材料となり、酵素やホルモンの役割、免疫システムをサポートしています。
タンパク質の働き
タンパク質の主な働きは、
- 筋肉や骨、皮膚などの組織の成長や修復を助ける
- 酵素の生成
- 成長ホルモンなどのホルモンを作る材料となる
- 免疫機能のサポート
- 栄養素の輸送と代謝
- 食べ物の消化・吸収
- 脳の命令を身体に伝える神経伝達物質
- 酸素を運ぶ赤血球をつくる
- 遺伝子などをつくる材料
などがあります。
人の身体は、タンパク質で成り立っているんですね!
アミノ酸はタンパク質
ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸は20種類で、
体内で合成できない9種類の必須アミノ酸と、
合成できる11種類の非必須アミノ酸で構成されています。
必須アミノ酸の中でも、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)と呼ばれる分岐鎖アミノ酸は、運動時のエネルギー源になることで知られています。
タンパク質は量も質も大事
成人の場合、1日あたりの推奨タンパク質摂取量は、
体重1kgあたり1.2g~2.0g程度とされています。
体重60kgの人は、72g~120gということです。
これは、一般的な活動レベルを維持するために必要な量です。
運動や病気の回復など、特別な状況下では、より多くのタンパク質が必要となる場合があります。
ランナーの場合、2.0g~2.5gを摂取目標とします。
※文部科学省【食品成分データベース】より
しかし、多くの人が食事だけでは摂りきれず、タンパク質不足だと言われています。
そして、タンパク質はただ摂ればいいというわけではなく、タンパク質の質が大事です。
タンパク質の質は、アミノ酸の種類と量で決まります。
食品に含まれるタンパク質が良質かどうかは、その食品中の必須アミノ酸が、ヒトに必要なアミノ酸の種類や量に近いかどうかで判断します。
アミノ酸の種類や量に不足があると、それに見合った量しかタンパク質をつくることができません。
タンパク質の基準「プロテインスコア」
そこで、タンパク質の「質」を評価する指標として、プロテインスコアを基準とします。
出典:フィジークオンライン
プロテインスコアの数値が高いほど良質タンパクを多く含んでいるということになります。
プロテインスコア100にあたる食品には卵があります。
同じようなスコアでアミノ酸スコアがありますが、プロテインスコアのほうが基準が厳しくなっているので、より質が高い食品を選ぶことを考えるとプロテインスコアを基準にする方が良いです。
プロテインスコアが100に満たない場合でも、食品を組み合わせ、不足部分を補い合うことで、良質タンパク質に近づけることができます。
例えば、植物性タンパク質のプロテインスコアは低く、大豆は56、白米は78です。
大豆は、必須アミノ酸のリジンを多く含むのですが、白米は、リジンが少ないです。
そこで、大豆(大豆食品)と白米(御飯)を一緒に食べると、両者の欠乏している必須アミノ酸を補うことができます。
ご飯と納豆の組み合わせは理にかなっているんですね!
タンパク質は摂取タイミングで変わる
タンパク質は、摂取タイミングも重要です。
特に運動を行っている場合、筋肉の修復や成長を助けるため、
運動前や運動後30分以内にタンパク質を含む食事や軽食することで、筋肉の回復が促進されます。
私の場合は、
運動前‥BCAAパウダー5g
運動中‥EAA(必須アミノ酸)10gを溶かしたドリンク500ml
運動直後‥グルタミン(非必須アミノ酸)パウダー5g
クールダウン後‥プロテイン30g
を摂取しています。
タンパク質を摂取するための食事計画
⚪︎朝食
玉子料理
卵1個には、約7gのタンパク質が含まれています。
⚪︎昼食
チキンサラダ
鶏胸肉100gには、約23gのタンパク質が含まれています。
⚪︎夕食
鮭のグリル
鮭の切り身100gには、約22gのタンパク質が含まれています。
⚪︎間食
ギリシャ ヨーグルト
市販されているギリシャヨーグルト1個には、約10gのタンパク質が含まれています。
上記の食事をした場合の摂取量
朝食 卵2個‥タンパク質14g
昼食 鶏胸肉200g‥46g
夕食 鮭100g‥22g
間食 ヨーグルト1個‥10g
運動後 プロテイン30g‥21g
就寝前 プロテイン30g‥21g
合計摂取量 134g
体重60kgのランナーの場合、これで目標量到達です。
これらの食事計画は一例であり、個人のニーズに合わせて調整する必要があります。
また、栄養バランスを保つためには、タンパク質のほかにも、脂質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を摂取することが重要です。
タンパク質不足は悪影響しかない
代謝は、生命活動において行われなければならない化学反応です。代謝を行うには、酵素が必要です。
酵素は、DNAのメッセージにより作られるタンパク質の一種であり、酵素をつくるためには、十分なアミノ酸がなければいけません。
タンパク質不足だと酵素をつくることができず、代謝がうまくいきません。
ビタミンは酵素の働きを助けてくれる補酵素ですので、タンパク質あってのビタミンということになります。
ビタミンだけ摂っても意味がないんですね
タンパク質が不足すると
- 疲れやすい、疲れがとれない
- 肩こり、膝痛、腰痛、関節痛などがある
- 太りやすく、痩せにくい
- 貧血
- 胃痛や胃もたれがある
などの症状に発展する可能性があります。
プロテインも摂りましょう
プロテインは、本来タンパク質のことですが、食物からタンパク質を抽出して粉にしたものをプロテインパウダー、略してプロテインと呼ばれています。
プロテインのメリットとしては、
・余計なものが含まれない
⇒食物の余分な脂肪、カロリーを避けることができる
・胃腸への負担が少ない
⇒タンパク質を摂ろうとして大量の食事をすると、胃腸への負担が大きくなる
・手間がかからない
⇒プロテインなら、シェイカーに水などを入れて振って飲むだけ
・安い
⇒食事で同じ量のタンパク質をを摂ろうとすると、食費がかさむことになる
タンパク質の注意点
慢性的にたんぱく質不足の人は、徐々に増やしていくようにしてください。
今までタンパク質をあまり摂っていなかった人は、消化能力が追いついていない可能性があります。
例えば、プロテインを飲んで調子が悪くなったという人がいます。
実は、プロテイン1杯(30g)には、ステーキ200g分のタンパク質があります。
それを一気飲みするということは、ある程度胃に負担がかかります。
ですので、プロテインはゆっくり飲みましょう。
タンパク質はいきなり増やさずに、1日10gくらいで1週間ほど慣らし、次の週は20g 次の週は30gと徐々に増やしてください。
身体の変化を見ながら増やしていきます
また、タンパク質の摂りすぎは良くないと聞いたことがありませんか?
結論から言うと、
やみくもに飲んでも消化吸収できずに体外に出るだけですので、過剰摂取の心配には及びません。
タンパク質の摂取(1日)は体重×4.4gまで安全です。
つまり、体重50kgの人なら220gまで飲んでも大丈夫、ということです。
1日にタンパク質220gというのは、プロテイン含有率70%の製品1kgを3~4日ですべて飲む、というペースになってはじめてタンパク質過剰、という計算になります。
そこまで飲める方はいないでしょう。
普通の食事をしている人が少し多めに摂ったくらいでは、まだまだ不足です。
過剰摂取を心配する必要はないのです。
その他、よく聞く悩みとして、
プロテインで胃腸障害、下痢、オナラが多く臭くなったということがあります。
その場合は、消化酵素のペプシンを飲むと改善する場が多いです。
また、プロテインを飲みすぎると肝臓が悪くなるといいますが、それは、ビタミンB6の不足が考えられています。ビタミンB群も併せて摂っていきましょう。
まとめ
タンパク質は私たちの体にとって重要な栄養素であり、組織の構築・修復や免疫機能、代謝などの重要な役割を担っています。
タンパク質が足りていないと、疲労が溜まりやすくなったり、他の栄養素が機能しないため栄養不足状態になってしまいます。
また、タンパク質はただ摂ればいいというわけではなく、食品選びや摂取量、タイミング摂取がとても大切になっています。
マラソンで成果を出すには、トレーニングの継続が重要です。そのためには、ケガをしないこと。
それには十分なタンパク質摂取が必須です。